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元HPからの移動物①
エンテレユーリ&デューク。
知り合いだったらしい二人…でもなんらかの理由でユーリはデューク宅から出奔中だったようなかんじで。。。
簡単に拉致ってます(笑
下の続きよりどうぞ。
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ただ、触れることさえ…
どくどくと音が聞こえそうなほどの不整脈と縄でがんじがらめに締め付けるような痛みに、浅く繰り返す息の中やり過ごす。
胸の辺りの服を掴んだ拳はその痛みを堪えるの如く、間接までもが青白く血の気を失い小刻みに震えた。
もう何度目だろうか。
今まで経験したことのない激痛がこの数日の間にこの身に訪れたのは。
原因もおおよそながら検討はついている。
今までにいなかった存在が、その術が蝕んでいるだろうことも。
明るい日だまりのような姿も笑顔も、人を慈しむ優しい心も持っていることも短いながら出会ってからの間に知って、“守りたいもの”のひとつにもなったのに。
どうして、こんなことになったのだろう。
『 I'll be on your side.』
ハルルの樹がエステルの力によって満開になった夜、人知れず大きな翼がその街から飛び立った。
その背に人影を2つ乗せて。
「もう、具合はいいのか」
ぼんやりと目を開けていたところに白が見えた。どうやらベッドに寝かせてもらっているようだが、体が思った以上にだるく思うように動かなかった。
ゆっくりと筋肉を意識して首を動かすと、全体的に白い人物が側にいるのを見ることができた。
「…デューク?」
「あぁ。久しいな。随分と見ないうちに成長したな」
「…どう、して…?」
「エアルの乱れを追ってきたらお前がいた。…気分はどうだ?」
「あぁ…だいぶ痛みがひいた。心配かけた、悪ぃ」
いつもまっすぐ見つめる赤い瞳。それは今も昔も変わらない。前は少し苦手だった。
心の奥を見透かしそうな冷静な視線。けれど実際は広い包容と時の悲しみを秘めた瞳だった。
だが今はその視線に怒りの色がみえて、ぎこちなく視線を逸らしてしまった。
そこにふわり、と額に手が落ちてくる。
「無理をするな」
白魚のような白い手を当てられたそこはひんやりと冷たく心地よい。体温が低いとはいえ、これを気持ちいいと思うならおそらく熱があるのだろう。
ひどく刺激された痛覚が体へも影響を及ぼしたのだ。
その理由は…。
記憶の中ひらめくピンク色。それは最後に見たハルルの花びらだったか、それとも彼女だったのか。
へいに思いにふけるユーリをじっと見つめていたデュークは眉を潜めた。
そしてぽつりと言葉をこぼす。
「ユーリ、ここにいてくれ」
「デューク?」
再び戻した視線の先には以前の彼にもまして悲壮感漂わせている。
「また一緒に暮らそう。場所はここでもいいし、もっと泉のきれいな森でも…」
「ま、待ってくれ。おれは今仲間と旅をしてるんだ。急に連れてきたみたいだけど、みんなんとこ戻りたいんだけど」
「…嫌なのか」
「別に嫌いなわけじゃないんだ。中途半端が嫌なだけというか投げ出したくないんだよ。あいつら、けっこーいい奴らだしな」
「私より向こうを選ぶのか。今は、な。デューク、あんたのことは信頼してるし好きだ。けど前の暮らしに戻るのはまだ…」
「ならばせめて世界の毒からは離れるのだ」
「世界の毒?」
「満月の子はひどくエアルクレーネを乱す存在。それは世界のみならず、お前の中さえも。始祖隷長(エンテレケイア)の末席に連なるものならば感じるだろう」
「…あれ、ね。エステルが満月の子とかいうやつなんだ」
「そうだ」
あの時ユーリはひどく辛そうだった。荒れ狂うエアルクレーネに。
「私は…お前まで失いたくない」
「デューク…」
彼の親友に重ね合わせているのだろう。
過去の瘡蓋から未だ血を滲ませている彼の心を、傷つけたくないと思った。
・・・end?
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