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ユーリ特殊設定の長編話です。
どんな特殊能力かが少し明らかになる過去話。
眠り姫になってるユーリが起きるまでの幕間ですね。
あれですよ、ネタ元はKI●Sです。
特殊設定でもOK~!な人はつづきを読むをぽちっとどうぞ。
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サクリファイス⑥
懐かしい夢を見た。
あれはまだ幼かった頃、下町で…。
晴れ渡った空のように青い瞳には少し水の膜が張り、それでも泣くまいと我慢して顔を歪めていた。
「…フレンっ」
「大丈、夫だから…」
「馬鹿いってんな!傷見せろ!…結構血ぃ出てるじゃねーか」
その日は下町の仲間たちとふざけて騎士ごっこをしていた。木の棒を剣に見立てて打ち合いをしていた時、大きく振りかぶられて相手をしていたフレンはバランスを崩し、近くにまとめてあった木材に倒れこんでしまった。運悪く木片のささくれだったところにぶつかり腕を大きな裂傷が走った。子供たちは慌てふためく中、ユーリが即座にフレンに駆け寄った。
痛みに顔をしかめるフレンを引き寄せ、血が溢れてきた腕を掴んだ。
「痛っ…!」
「止血するぞ」
とっさに破いた服と仲間の誰かが差し出していたハンカチを患部に当てて圧迫する。
「…んっ!」
「わりぃ、フレン」
「い、いから…」
痛みにしかめたフレンは無理やりユーリに微笑む。そんなフレンを見てぎりっと唇をかみ締めたユーリは俯いて言った。
「フレン…今、楽にしてやるから」
「な、に…?」
「ほんとはダメだって言われてるんだけど、内緒な」
俯いているから表情は良く見えない。けれど僅かに見えた口元は少しだけ弧を描いていた。すると、大きく脈が打つように熱い痛みが広がっていた腕がほんのり温かくなってきて、不思議と痛みが遠のいていく。
「ユーリ?」
「っ…」
まるで炎が小さくなっていくように痛みが引いていったことに困惑し、ユーリに疑問を投げかけると先ほどまで弧を描いていた口元はきつくかみ締めている。一瞬の間に何があったか頭が理解できない。だが事実、あれほど痛かったのが嘘のように痛みは引いていた。
だがそれと入れ替わるように、ついさっきまで痛がっていたフレンと同じくユーリも”何か”を我慢していた。どういうことか聞く前に仲間が大人たちを呼んできてくれたようで、ケガをしたフレンをすぐ連れて行こうとした。
「待って。ユーリと話が…!」
「…いいから手当てしてもらって来いっ…。話はその後でいいだろ…」
ユーリはさっさと言うように手を振った。顔を上げたユーリは少し顔色が悪かった。だが気になりつつも、フレンは大
人に連れられてその場から離れていった。遠くに自分が怪我した右腕を押さえるユーリを見ながら。
その夜。
ユーリがいつもいる宿屋の2階に足を運んだフレンは部屋をノックして、返事を待たないままドアを開けた。そこにはベッドで横になるユーリがいた。そのままベッドサイドに腰を掛けてユーリを見下ろした。
「ユーリ?」
「んぁ…フレンか?」
寝ていたのかぼんやりと目を開けてフレンをとらえ、どこか億劫そうに上半身を起こした。
緩慢な動きのユーリを横目に気になっていたユーリの右腕を手に取る。そして袖をまくると、腕に走っている赤く牽きつれたようなミミズ張りに目を見張った。
「これ、どういうこと?」
何か言うよりも疲れたようにユーリは笑った。
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